脊柱管が狭くなり神経を圧迫する脊柱管狭窄症
2017-10-02
こんにちは佐々木です。
前回も紹介させていただきました脊柱管狭窄症についてのお話です。
加齢など様々な原因により骨・関節・椎間板・靭帯などが肥厚して、神経が通っている脊柱管が狭くなり、神経を圧迫し血行を阻害することで症状が起こる病気が脊柱管狭窄症です。
腰部でみられる症状は腰椎椎間板ヘルニアと同様に坐骨神経痛を引き起こす原因疾患のひとつです。
椎間板ヘルニアで起こる坐骨神経痛は、腰椎前屈位によって坐骨神経が引っ張られ症状が悪化する傾向にありますが、狭窄症においては腰椎後屈位で狭窄が悪化します。
腰部脊柱管狭窄症の症状は、圧迫される箇所で痛みの部位が変わって、主に3つの症状に分類することができます。
1つ目は、脊柱管の中心部分の馬尾神経が圧迫される馬尾型というタイプで、両下肢のしびれ感・冷感・疼痛・排尿障害などが起きます。
2つ目は、馬尾神経から分岐した後の神経根が圧迫される神経根型というタイプで、臀部から足にかけての痛みが起きます。
3つ目は、馬尾型と神経根型の両方の症状が起きている混合型というタイプです。
タイプ別の症状をみても分かるように、腰が悪いのになぜか下肢が痛むなど様々な症状が起こるのはなぜなのかと疑問に感じ方もいます。
実は、脳に下肢の痛みを伝えるのは主に坐骨神経とその中枢にある脊髄なので、下肢以外のところでも神経のどこかに異常が発生すると下肢の痛みとして感じてしまうのです。
電話で例えると解りやすいもので、電話線を途中(腰)でいたずらすると、聞き手(脳)は話し手の所(下肢)で音がしたと判断してしまいます。
このようなことが体の中で起こっていることから、腰に悪い所があると坐骨神経の支配域である太もも・ふくらはぎ・足などに痛みが起こってしまうのです。
腰部脊柱管狭窄症の治療方法としては保存療法と手術療法の2つがあるのですが、約70%の患者は保存療法で良くなると言われています。
保存療法としては薬物療法やブロック療法などがあって、薬物療法では神経周囲の血流障害を改善するために血管を広げ血流量を増やす薬剤の投与が行われます。
ブロック療法は、局所麻酔剤やステロイド剤を目的の神経や関節に直接注射する治療で、一時的に痛みを軽減させると共に、痛みによる反射的な血管の収縮や筋肉の緊張を抑えて2次的な痛みについても取り除きます。
その他、腰部の安静や前屈位の保持を目的として装具を装着する装具療法や、物理療法・運動療法などのリハビリテーションも保存的治療として有効です。
手術療法については、保存療法で効果が得られない場合や、症状の強い場合に選択する必要があります。
手術にはいくつか方法があるのですが、椎弓の一部と肥厚した黄色靭帯などを切除して脊柱管を広げる方法と、それに加えて上下の骨を癒合させる方法が主に行われます。
ただし、腰椎すべり症など不安定性を伴う場合には、単に脊柱管を広げるだけでなく固定術が必要となることもあります。
手術の方法に関しては症状によって異なるので、しっかりとした医師からしっかりと説明を受けると良いです。