腰痛の原因は実はたくさんあるのです その①
2018-09-04 [記事URL]
こんにちは、レリーフ整骨院の佐々木です。
今回は多くの日本人が悩まされている腰痛の原因についてお話します。
厚生労働省の発表によれば、腰痛を持つ人は全国で2770万人もいるそうです。
さらに、そのうち85%の人びとが原因不明で、何度もぶり返す腰痛に悩まされているようです。
腰痛の主な原因
腰痛の原因となりうる障害や病気は非常に数多く存在しますが、大きく4種類に分けることができます。
「1.腰の骨や筋肉といった組織の損傷」「2.神経障害」「3.ストレスや鬱などの心理的な要因」「4.内臓の病気」のそれぞれについて、具体的にどういった病気や障害があるのか、症状や原因の概要と共に一覧表示します。
今回は「1.腰の骨や筋肉といった組織の損傷」「2.神経障害」についてです。
原因1.「骨や筋肉の障害」
腰の中心には腰椎(腰部の背骨)があり、固い骨「椎骨」と、軟らかい軟骨「椎間板」が折り重なってできています。骨同士は椎間関節という関節で連結されており、積み重なった骨が崩れないように腰椎の周囲は靭帯や筋肉によって支えられています。
こうした腰の組織が、様々な要因によって刺激を受けたり、損傷したりすると腰痛が発生します。
痛みの特徴
•特定の姿勢や動作をした時に痛みやすい
(立ち上がる時、前かがみ時、上体を反らせた時など)
•特定の姿勢をとった時や、動かず安静にしている時に痛みが和らぐ傾向がある
痛みの主な原因
1.筋肉や靭帯の疲労・損傷
o 腰の筋肉が疲労して筋肉痛のような痛みが起こる
o 筋肉や靭帯が疲労で弱った状態で一度に大きな負荷がかかると、捻挫のような急な痛みが起こる
2.骨や椎間板の劣化・変形
o 長年の腰への負担や老化によって椎間板がつぶれたり、変形した骨が周囲の組織を刺激して痛む
o 骨や椎間板が変形した結果、椎間関節がゆがんで関節痛のような痛みが起こる
3.細菌感染や腫瘍
o 骨が細菌感染して化膿したり、腫瘍によって圧迫されて痛む
1-1.筋肉や靭帯の疲労・損傷によるもの
◆筋・筋膜性腰痛(筋性腰痛症)
腰まわりの筋肉疲労による痛み(筋肉痛・挫傷・捻挫・肉離れなど)
【主な症状・特徴】
•腰あるいは腰から背中にかけての痛み
•前かがみになった時に腰が痛むことが多い
•腰の疲れ、張り、コリやだるさ、重苦しさなどの違和感・不快感
◆ぎっくり腰(急性腰痛症)
【主な症状・特徴】
•重いものを持ち上げたり、勢いよく立ち上がったり振り返ったり、ちょっとした動作をした瞬間に突然腰に激しい痛みが走り動けなくなる
→ 動かずに安静にしていれば痛みが和らいでくる
【主な原因】
•腰の筋肉、靭帯、関節などの組織が損傷して起こることが多い。椎間板ヘルニア、骨粗しょう症、脊髄腫瘍、尿路結石などの病気で起こることもある。ストレスが関係しているケースもある
•腰の疲れがたまっていたり、歳をとって体が老化していると、腰を支える力が弱まっているため、ちょっとした動きでも組織が損傷して発症しやすくなる
◆腰痛症
レントゲンなどの画像をみても腰まわりの組織に異常がなく、明らかな原因を特定できない腰痛の総称
【主な症状・特徴】
•腰にしつこく続く”鈍い痛み”がある。腰がこる、だるい、重い、疲れる
•腰痛があるのに診察を受けても何の異常もみられない
【主な原因】
•腰の筋肉や靭帯の疲労(筋・筋膜性腰痛)、腰のケガ(捻挫や打撲)、ストレス(心因性腰痛症)など
1-2.骨や椎間板の劣化・変形によるもの
◆椎間板症
椎間板が押しつぶされたり亀裂が入った状態。病状が進行すると椎間板ヘルニアになる
【主な症状・特徴】
•腰に痛みや重さ、だるさを感じる
•前かがみになった時に特に腰が痛む
【主な原因】
•腰を使い続けたり、一度に大きな負荷をかけたり、歳をとることなどによる「椎間板の老化」
◆(腰椎)椎間板ヘルニア
椎間板が押しつぶされ、中にあるゼリー状の物質(髄核)が外に飛び出した状態
【主な症状・特徴】
•腰の急な激痛(急性型)、鈍い腰痛がしつこく続く(慢性型)
•足やお尻のしびれ
•前かがみになると痛みやしびれが強まる
•20~50歳代の男性、特に働き盛りの20~30代によく見られる。10代の若者や60代以降の高齢者は少ない
【主な原因】
•加齢や腰への負担の蓄積などによる「椎間板の老化」
◆(腰部)脊柱管狭窄症
背骨の内側の神経の通り道「脊柱管」が狭くなり、神経が圧迫される障害
【主な症状・特徴】
•足の痛みやしびれ。一度に長い距離を歩けない(間欠跛行)
•腰を後ろに反らすと痛みやしびれが増し、前かがみになると楽になる
•50歳以上の高齢者、若いころから腰痛持ちの人、腰のケガや病気を繰り返している人などによく見られる
【主な原因】
•加齢・病気・ケガなどによって腰椎の骨や靭帯が変形し、脊柱管を圧迫
◆腰椎分離症・すべり症
椎骨を支える椎間関節が骨折して分離したり、分離したことで椎骨が前方にずれる障害
【主な症状・特徴】
•腰が疲れる、だるい、重い、鈍い痛みを感じる
•腰を後ろに反らせた時や、長時間立ち続けたり、激しいスポーツや重労働をした時に痛みが強まる
•スポーツをする20歳以下の成長期の若者、特に10~14歳の子どもに多く見られる
【主な原因】
•椎間関節の骨折。若者の場合は激しい運動が原因で、中年層の場合は組織の老化が原因で骨折する
◆変形性腰椎症(変形性脊椎症)
腰部の背骨(腰椎)が加齢などで変形したもの
【主な症状・特徴】
•腰がだるい、重い、鈍い痛みを感じる
•腰を後ろに反らせた時や、動作の始まりや疲れた時に痛みが強まる
•入浴中は症状がとても和らぐ
•加齢にともなう老化現象であるため、40歳以降の高齢者に多く発症する
【主な原因】
•加齢や長年の腰への負担によって骨が変形し、神経などの周辺組織を刺激する
◆変形性股関節症
股関節の骨や軟骨がすり減ったり変形したりして痛みを引き起こす病気
【主な症状・特徴】
•股関節、腰、お尻、太もも、ひざなどの痛みや違和感。ひどくなると安静時でも痛む
•股関節の動きが悪く、曲げ伸ばししづらい。痛みで足を引きって歩く
•30歳代後半~50歳代の中年層に多い(特に女性)
【主な原因】
•股関節の病気やケガ。若い頃に股関節の異常や病気を経験し、大人になってから後遺症として発症するケースが多い
◆脊椎側弯症(脊柱側弯症)
通背骨(脊椎)が左右に歪んて曲がってしまう病気
【主な症状・特徴】
•腰や背中の痛み
•背中を後ろから見た時に、背骨が左右に曲がっていたり、左右の肩・背中・腰の高さが違う
【主な原因】
•姿勢の悪さ、筋肉の発育不良、肥満、椎間板ヘルニアなどの病気など。原因不明のものは成長期の子どもに多い(特に10代の女子や肥満児)
◆骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
骨の密度が減り、骨の内部がスカスカになってもろくなる病気
【主な症状・特徴】
•腰や背中に長くしつこく続く痛みがある
•ちょっとした衝撃で骨折する
•以前より背中や腰が丸まってきた(曲がってきた)
•閉経後の50歳以上の女性に圧倒的に多く、高齢になるほど発症しやすい。妊娠中や授乳期の女性にも見られることもある。男性は殆ど発症しない
【主な原因】
•加齢、カルシウム不足、運動不足、痩せすぎ、飲酒・喫煙、ストレスなど。特に月経が終わった更年期(50歳前後)以降の女性は骨量が大きく減少する
◆強直性脊椎炎
背骨や骨盤の関節組織が何らかの原因で骨に変わり、骨同士がくっついてしまう病気
【主な症状・特徴】
•腰や背中が重たく感じたり、固くこわばって動かしにくい。または筋肉痛のような痛みがある
•症例の少ない珍しい病気。患者の大半が10~20代の若者
【主な原因】
•詳しい原因は不明。遺伝的な要因があると考えられている
◆リウマチ性多発筋痛症
ウイルスや細菌などの外敵から体を守る”免疫システム”に異常が発生する病気「膠原病」の一種
【主な症状・特徴・原因】
•首から肩、あるいは腰などに強い痛みと”こわばり”がある
•関節の痛み、全身のだるさ、体重減少、食欲低下、微熱など
•ほとんどは50代~60代以上の高齢者に発症する原因不明の病気
1-3.腰椎の細菌感染や腫瘍によるもの
◆化膿性脊椎炎
脊椎(背骨)に細菌が侵入して炎症を起こし膿(うみ)がたまる病気。
【主な症状・特徴】
•腰や背中の突然の激痛
•動かず安静にしていても痛み、患部をたたくと非常に痛む
•寒けがして熱が出ることも
【主な原因】
•病気などで生じた細菌や炎症が血管を通じて広がる
•疲れ、ストレス、病気などで免疫(抵抗力)が低下していると発症しやすい
◆脊椎カリエス(結核性脊椎炎)
結核の原因となる結核菌が脊椎に感染して炎症を起こす病気
【主な症状・特徴】
•腰や背中の中心に鈍い痛みやコリがあり、患部を押したり叩いた時にも痛む
•発熱、だるさ、疲れ、食欲不振、体重減少などのカゼのような症状が出ることも
【主な原因】
•過去に結核菌に感染したことのある人の体内に菌が残っていて、免疫(抵抗力)の低下によって再び活性化したり、周囲の結核患者から感染したりする
◆脊髄腫瘍・脊椎腫瘍
脊髄(中枢神経)や脊椎(背骨)やにできる、良性または悪性の腫瘍
【主な症状・特徴】
•腰や背中に鈍い痛みがしつこく長く続く
•動かず安静にしていても痛み、患部を押したり叩いた時にも痛む
•激痛、めまいや頭痛、手足のしびれやマヒ、排尿・排便障害などが見られることも
【主な原因】
•悪性腫瘍(がん)の場合、他の臓器からの転移がほとんど。
原因2.「神経の障害」
<腰周辺の神経について>
脳から腰に向かって伸びる中枢神経である「脊髄」は、腰のあたりで「馬尾神経」という細い神経の束になり、更に腰椎や仙骨の間を通って枝分かれしながら足先まで伸びていきます。この一部がお尻のあたりで合流して一本の太い神経となっているのが「坐骨神経」です。
お尻から足先に向かって伸びる坐骨神経は1mもの長さがあり、腰から太もも、足先まで広い範囲の知覚をつかさどっています。
椎間板ヘルニアなどによって腰の組織が変形し、坐骨神経が圧迫されたり炎症を起こしたりすると、神経の支配する広い部位で強い痛みやしびれが生じます。
また、神経は痛みの信号だけでなく、感覚や運動の信号も伝達します。そのため脊髄や馬尾神経などの主要な神経が障害されると、痛みやしびれのほかに、マヒ、脱力感、感覚の鈍り、排尿障害などが起こることもあります(馬尾症状)。
神経痛の特徴
•皮膚の表面近くが痛む
•”チクチク”、”ピリピリ”といった痛み方をする。痛み方は個人差があり、衣服がスレた時に違和感を感じる程度だったり、アリが走るような感覚、針を刺すような鋭い痛み、かなりの激痛など様々です。
神経性の腰痛が見られる病気・障害
◆坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)
腰から足先に向かって伸びる坐骨神経が圧迫を受けたり炎症を起こしたりするもの
【主な症状・特徴】
•下半身の強い痛みやしびれ(腰から足の裏までの広範囲に発生しうる)。動かず安静にしていても痛みやしびれがおさまらない
【主な原因】
•腰の病気や障害によって神経が刺激・圧迫される
椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性腰椎症、腰椎分離症・すべり症、脊髄腫瘍など
•帯状疱疹、糖尿病、うつ病、リウマチ、アルコール依存症などが原因となることも
◆帯状疱疹(たいじょうほうしん)
過去に水ぼうそうを起こしたウイルスが体内で再び活性化するもの
【主な症状・特徴】
•下半身に神経痛のようなピリピリとした痛み、時には激しい痛みを感じる。悪化すると高熱が出ることもある
•痛む箇所に赤い腫れや小さな水ぶくれが”帯状に連なって”できる
【主な原因】
•体内に残る水痘ウイルスが、加齢や過労などで免疫(抵抗力)が低下した時に再び活性化する
少し難しいワードが多く、訳が分からなくなっている方も多いかもしれませんが、
日常生活の姿勢や、身体にあるわずかな歪みを整えるだけで改善する症状も多くあります。
次回は腰痛の原因になる可能性がある「3.ストレスや鬱などの心理的な要因」「4.内臓の病気」
についてです。